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ソフトウェア品質特性の具体例と活用方法:ISO/IEC 25010に基づく解説

公開日:2024年10月22日 更新日:2024年10月22日

ソフトウェア開発において、品質の向上と維持は非常に重要な要素です。品質管理の手法として、多くの開発プロジェクトで採用されているのがISO/IEC 25010に基づく品質特性の評価です。この規格に基づく品質特性の理解は、開発チームが目指すべき品質基準を明確にし、プロジェクトの成功を確実にするための重要な手段となります。本記事では、具体的な品質特性とその活用方法について詳しく解説します。

 

ISO/IEC 25010とは?

ISO/IEC 25010は、システムやソフトウェアの品質を評価するための国際規格です。この規格は、ソフトウェア製品の品質を8つの主要な特性に分類し、品質の評価と改善に役立てることを目的としています。これらの特性を理解することで、ソフトウェアの品質を客観的に評価し、適切な改善策を講じることが可能になります。

 

ISO/IEC 25010における8つの品質特性

1. 機能適合性

機能適合性は、ソフトウェアがその機能を正しく実行し、ユーザーの要求に応じて適切に動作するかを評価します。具体的には、機能が完全に実装され、期待通りに動作するかどうかを確認します。この特性は、ユーザーのニーズをどれだけ正確に満たしているかを測る重要な指標です。

2. 性能効率性

性能効率性とは、限られたリソースをどれだけ効率的に活用し、高いパフォーマンスを維持できるかを示します。例えば、システムの応答時間や処理速度、リソース使用量が最適化されているかどうかが評価のポイントです。この特性が優れているソフトウェアは、処理能力が高く、システムが負荷に耐える力も強いです。

3. 互換性

互換性は、ソフトウェアが他のシステムやプラットフォームとどれだけスムーズに連携できるかを示すものです。異なる環境間でも問題なく動作し、必要なデータの互換性が確保されていることが評価されます。互換性が高いソフトウェアは、異なるOSやブラウザなどでも適切に動作し、ユーザー体験を損なうことがありません。

4. 使用性

使用性とは、ユーザーにとってどれだけ使いやすいかを示します。この特性は、ソフトウェアのインターフェースが直感的で、操作が簡単であるかどうか、ユーザーが迷うことなく機能を利用できるかどうかを評価します。UI/UXデザインの質や、マニュアルなしで操作できる使いやすさが、使用性の主要な評価基準です。

5. 信頼性

信頼性は、ソフトウェアがどれだけ安定して動作し、エラーや障害を最小限に抑えられるかを示します。この特性では、システムの可用性や、障害が発生した場合の回復力などが評価されます。特に重要なシステムでは、信頼性の確保が不可欠であり、長期間の運用に耐えうる品質が求められます。

6. セキュリティ

セキュリティは、ソフトウェアが不正アクセスやデータの漏洩からどれだけユーザーを保護できるかを示します。機密性の確保、データの整合性、認証や許可システムがしっかり機能しているかが、セキュリティの評価基準です。企業の機密データを扱うシステムでは、特に高いセキュリティ水準が求められます。

7. 保守性

保守性とは、ソフトウェアが将来的にどれだけ容易に修正や改良ができるかを示す特性です。コードが再利用可能であり、テストが容易に行えること、また新たな機能追加がスムーズに行えることが保守性の指標です。ソフトウェアが長期間使用されることを考慮し、メンテナンスが容易であることが求められます。

8. 移植性

移植性は、ソフトウェアが異なるプラットフォームや環境に移行する際の適応能力を示します。例えば、Windowsで開発されたソフトウェアをLinux環境に移行する場合、問題なく機能するかどうかが移植性の評価ポイントです。異なる利用環境でも同様の機能を提供できる柔軟性が、この特性に求められます。

 

品質特性を活用した継続的改善

ソフトウェア開発において、品質の向上はリリース後も継続して行われるべきプロセスです。ISO/IEC 25010に基づく品質特性を活用することで、リリース後のフィードバックを元に品質を見直し、さらなる改善が可能になります。この継続的な改善プロセスを通じて、ユーザー満足度の向上とシステムの信頼性強化が実現できます。

 

品質特性を基にしたフィードバックループ

リリース後のフィードバックを活用して、品質特性を評価し、必要に応じて改善を行うことが重要です。特に、ユーザーからの意見を反映させることで、信頼性や使用性の向上に繋がります。定期的な評価とフィードバックのループを回すことで、品質を維持しつつ、新たな要件にも対応できる柔軟性を持たせることができます。

 

テストケース作成における品質特性の活用

テストケースの作成時にも品質特性を基にした評価が重要です。例えば、機能適合性や性能効率性を考慮したテストケースを作成することで、必要な機能が期待通りに動作するか、リソースを効率的に活用しているかを確認できます。また、セキュリティや保守性の観点からもテストケースを充実させることで、漏れのないテスト設計が可能になります。

 

まとめ

ISO/IEC 25010に基づく品質特性は、ソフトウェアの品質管理において非常に有効なツールです。これらの特性を理解し、開発プロセス全体に活用することで、品質向上を継続的に図ることができます。特に、リリース後のフィードバックやテストケース作成時に品質特性を意識することで、ユーザー体験の向上やシステムの安定性を確保できます。今後のソフトウェア開発では、品質特性を活用した戦略的な品質管理がますます重要になるでしょう。

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この記事を書いた人

釣見 駿

株式会社CLANE 取締役 / 学生時にマイナビニュースでメディア運営を行う。その後広告代理店で働きながら、2018年にCLANEの創業時にジョイン。WEBデザインや広告をもっと知りたい方に、役立つ情報をお届けします。

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