Web制作フローを全工程解説|要件定義から公開まで各フェーズの進め方とポイント
自社サイトのリニューアルや新規立ち上げを検討する際、「どこから手をつければいいのか」「制作会社に依頼した後、どのように進んでいくのか」といった疑問を持つ担当者は少なくありません。Web制作は要件定義から始まり、設計・デザイン・開発・テスト・公開と複数のフェーズにまたがるプロジェクトです。発注側がその全体像を把握していないと、認識のズレや手戻りが生じやすく、スケジュールや予算に影響が出るケースもあります。
特にBtoB企業のサイト制作では、関係部門が多く、社内承認プロセスも絡むため、各フェーズで何を決定し、どのような成果物を確認すべきかを事前に理解しておくことが重要です。制作会社任せにせず、発注側として主体的に関与できるかどうかが、プロジェクトの品質を左右します。
本記事では、Web制作の標準的なフローを要件定義から公開・運用開始まで全工程にわたって解説します。各フェーズの目的・主な作業内容・発注側が押さえておくべきポイントを順に整理しているため、初めて制作プロジェクトを担当する方から、過去の経験をあらためて体系的に整理したい方まで、参考にしていただける内容です。
Web制作フローの全体像——6つのフェーズと所要期間の目安
Web制作の工程は、大きく6つのフェーズに分けて整理できます。各フェーズの役割と順序を把握しておくことで、発注後に「いまどの段階にいるのか」「次に何が必要か」を判断しやすくなります。
フェーズ一覧と各工程の位置づけ
6つのフェーズは以下の順序で進行します。前工程の成果物が次工程のインプットになる構造のため、各フェーズの目的を正確に理解しておくことが重要です。
- 要件定義:目的・ターゲット・機能要件・予算・スケジュールを確定する
- 設計:サイト構造(IA)・ページ設計・システム要件を文書化する
- デザイン:ワイヤーフレームをもとにビジュアルデザインを制作・承認する
- コーディング・実装:デザインをHTMLやCMSに変換し、機能を実装する
- テスト・検証:表示・動作・セキュリティ・パフォーマンスを網羅的に確認する
- 公開・運用:本番環境への移行、公開後の初期モニタリングと保守体制の確立
規模別の標準的なスケジュール感——小規模・中規模・大規模で何が変わるか
所要期間はサイトの規模や要件の複雑さによって大きく変わります。以下は目安となる期間感です。実際の期間は要件定義の精度や意思決定のスピードにも左右されます。
| フェーズ | 小規模(10ページ以下) | 中規模(〜50ページ) | 大規模(50ページ超・システム連携あり) |
|---|---|---|---|
| フェーズ | 小規模(10ページ以下) | 中規模(〜50ページ) | 大規模(50ページ超・システム連携あり) |
| 要件定義 | 1〜2週間 | 2〜4週間 | 1〜2ヶ月 |
| 設計 | 1週間 | 2〜3週間 | 1〜2ヶ月 |
| デザイン | 2〜3週間 | 1〜2ヶ月 | 2〜3ヶ月 |
| コーディング・実装 | 2〜3週間 | 1〜2ヶ月 | 2〜4ヶ月 |
| テスト・検証 | 3〜5日 | 1〜2週間 | 2〜4週間 |
| 公開・運用移行 | 1〜3日 | 3〜5日 | 1〜2週間 |
| 合計目安 | 約2〜3ヶ月 | 約3〜5ヶ月 | 約6〜12ヶ月 |
小規模サイトでも要件定義が不十分だと手戻りが発生し、合計期間が1ヶ月以上伸びるケースは少なくありません。大規模案件では特に要件定義・設計フェーズに十分な時間を確保することが、後工程の品質安定につながります。
Web制作が「思ったより時間がかかった」になる理由——全工程の把握が最初の一手
「思っていたより時間がかかった」「追加費用が発生した」「公開直前に大幅な修正が入った」——Web制作プロジェクトでこうした事態が起きる場面は少なくありません。原因の多くは、制作技術の問題ではなく、発注側と制作側が工程の全体構造を共有できていないことにあります。
Web制作のフローは、要件定義・設計・デザイン・コーディング・テスト・公開という6つのフェーズで構成されます。各フェーズは独立しているように見えて、前工程の決定内容が後工程の品質と工数を直接左右する構造になっています。たとえば要件定義が曖昧なまま設計に進むと、デザイン段階で方向性の手戻りが発生し、結果としてスケジュール全体が圧迫されます。
発注側の担当者が各工程で「何が決まり、何が次に引き継がれるか」を理解していれば、承認判断のタイミングを逃さず、不要な手戻りを未然に防ぐことができます。
本記事では、Web制作の進め方を6つのフェーズごとに整理し、各工程の目的・所要期間の目安・よくあるリスクポイントを解説します。制作会社への発注を検討している方が、プロジェクト全体を見通して判断できるようになることを目的としています。
要件定義で整理すべき項目の詳細な書き方・進め方はこちらの記事で解説しています。
あわせて読みたいWeb制作の要件定義とは?必要な項目・書き方・抜け漏れをなくす進め方フェーズ1:要件定義——ここで決めることが全工程の品質を左右する
要件定義は、Web制作の進め方において最初に取り組む工程です。ここで決めた内容が、設計・デザイン・コーディングといった後続のすべての工程に直接影響します。要件定義の精度が低いまま制作を進めると、工程の後半になるほど手戻りコストが膨らみます。発注側がこの工程を「制作会社に任せればよい」と考えているケースは少なくありませんが、実際には発注側が主体的に決定すべき項目が数多く存在します。
発注側が決めるべき項目と制作側に委ねる項目の切り分け
要件定義で整理すべき項目は、大きく以下の2種類に分かれます。
発注側が決定すべき項目
- 目的・ゴール:サイトを通じて何を達成したいか(例:リード獲得数の増加、採用応募数の向上、ブランド認知の強化)
- ターゲットユーザー:誰に向けたサイトか。業種・役職・検討フェーズなど具体的に定義する
- KPI・成果指標:目標達成の度合いを測る指標。「月間問い合わせ件数20件」など数値で設定する
- 予算・スケジュール:上限予算と公開希望日。社内の承認フローや関係部署との調整期間も含めて設定する
- コンテンツ量:ページ数、既存コンテンツの流用可否、新規作成が必要なコンテンツの範囲
制作側に委ねてよい項目
- ページレイアウトや配色などのビジュアル設計
- 技術スタック(使用するCMSやフレームワークの選定)
- 非機能要件(表示速度・セキュリティ・アクセシビリティの基準値)の具体的な実装方法
ただし、非機能要件についても「どの水準を満たすべきか」という基準の合意は発注側と制作側の双方で行う必要があります。完全に委ねると、後から「想定より表示が遅い」「セキュリティ要件を満たしていない」といった問題が発生しやすくなります。
よくある曖昧な要件——「いい感じに」「競合と同じくらい」が引き起こす問題
要件定義でとくに曖昧になりやすいのが「目的」と「成果指標」です。
たとえば「サイトをいい感じにリニューアルしたい」という要件は、制作側には判断基準がありません。デザインの方向性なのか、コンテンツの充実なのか、問い合わせ導線の改善なのかが不明確なため、制作側は仮説で進めるしかなくなります。その結果、デザイン確認の段階で「イメージと違う」という差し戻しが発生し、工数と期間が想定以上に膨らみます。
「競合と同じくらいのサイトにしたい」という要件も同様です。競合サイトのどの要素を指しているのか——ページ数なのか、機能の充実度なのか、コンテンツの質なのか——が明確でなければ、制作側は拠り所を持てません。
目的と成果指標を明確にするには、以下のような問いに答える形で整理することが有効です。
- サイト公開から6ヶ月後、何が達成されていれば成功と言えるか
- その達成度を何の数値で測るか(問い合わせ件数・資料請求数・特定ページの滞在時間など)
- 現在のサイトでその数値がどの程度か、目標値はいくつか
要件定義の段階でこれらを言語化しておくことで、設計・デザイン・コーディングの各工程で判断の軸が生まれます。曖昧な要件のまま進めることは、工程が進むほど修正コストが指数関数的に増大するリスクを抱えることになります。
Web制作フローの全体像——6つのフェーズと所要期間の目安
Web制作の工程は、大きく6つのフェーズに分けて整理できます。各フェーズが独立しているわけではなく、前工程の成果物が次工程のインプットになる連鎖構造になっています。まずは全体の流れを俯瞰しておくことが、スケジュール管理や発注側の意思決定において重要です。
フェーズ一覧と各工程の位置づけ
- 要件定義——サイトの目的・ターゲット・機能要件・予算・スケジュールを言語化する工程。全フェーズの前提条件を確定させます。
- 設計——サイト構造(情報アーキテクチャ)とページ単位のワイヤーフレームを作成する工程。UIや動線の骨格を固めます。
- デザイン——ビジュアルデザインの制作とブランドとの整合確認を行う工程。トンマナの統一とステークホルダーの承認が主な作業です。
- コーディング・実装——設計・デザインをもとに実際に動作するサイトを構築する工程。CMSの組み込みや外部システム連携もここに含まれます。
- テスト・検証——表示確認・動作確認・セキュリティチェックなど、公開前の品質担保を行う工程です。
- 公開・運用——本番環境への移行と公開後の初期モニタリング、継続的な保守・改善を担う工程です。
規模別の標準的なスケジュール感——小規模・中規模・大規模で何が変わるか
所要期間はサイトの規模や機能の複雑さによって大きく異なります。以下は一般的な目安です。実際のプロジェクトでは要件定義の深度や社内承認フローの長さによってさらに変動するケースが少なくありません。
| フェーズ | 小規模(LP・数ページ) | 中規模(コーポレートサイト) | 大規模(ECサイト・会員機能あり) |
|---|---|---|---|
| 要件定義 | 1〜2週間 | 2〜4週間 | 1〜2か月 |
| 設計 | 1週間 | 2〜3週間 | 1〜2か月 |
| デザイン | 1〜2週間 | 3〜5週間 | 1.5〜3か月 |
| コーディング・実装 | 1〜2週間 | 4〜8週間 | 2〜4か月 |
| テスト・検証 | 数日〜1週間 | 1〜2週間 | 3〜6週間 |
| 公開・初期対応 | 数日 | 1週間程度 | 2〜3週間 |
| 合計目安 | 1〜2か月 | 3〜5か月 | 6〜12か月 |
規模が大きくなるほど、各フェーズの期間が延びるだけでなく、フェーズ間の調整コストも増加します。特にデザイン承認や機能仕様の変更が発生した際の手戻りは、中規模以上のプロジェクトでスケジュール遅延の主因になりやすい点に注意が必要です。
フェーズ2:設計——サイト構造とページ設計を固める工程
要件定義で固めた目的・要件をもとに、設計フェーズではサイトの「骨格」を作ります。情報アーキテクチャ(IA)の設計、サイトマップ作成、ワイヤーフレーム作成の3ステップが中心です。このフェーズを省略・簡略化すると、デザイン工程に入ってから「ページ数が足りない」「導線がおかしい」といった手戻りが発生しやすくなります。
サイトマップで全体構造を可視化する
サイトマップは、サイト全体のページ構成とその階層関係を一覧化したものです。「トップページ→サービス一覧→サービス詳細」といった親子関係を図示することで、ページ数の過不足やナビゲーション構造の妥当性を発注側が確認できます。
発注側がレビューすべき観点は主に以下の3点です。
- ナビゲーション構造:グローバルナビゲーションに並ぶ項目が、ユーザーの行動フローと一致しているか
- ページ間の導線:サービスページから問い合わせフォームへ、資料請求ページへといった経路が自然につながっているか
- CTA配置の設計:コンバージョンにつながる行動を促すページが適切な位置に設けられているか
ワイヤーフレームの具体的な作り方とツール選定はこちらの記事で詳しく紹介しています。
あわせて読みたいWeb制作のワイヤーフレームの作り方|手順・ツール・実例を解説ワイヤーフレームで発注側が確認すべきポイント
ワイヤーフレームは、各ページのレイアウトと要素の配置を図示したものです。デザインの色や装飾は含まれず、「何をどこに置くか」を決める工程です。
発注側がこの段階で確認すべきは、コンテンツの優先順位が視覚的に反映されているかどうかです。たとえば、ファーストビューに訴求したいメッセージが入っているか、CTAボタンが埋もれていないかなどを確認します。デザインに進んでから配置を変えると、制作工数が大きく膨らむケースが少なくありません。設計フェーズでの合意が、Web制作工程全体のスムーズな進行を支えます。
フェーズ1:要件定義——ここで決めることが全工程の品質を左右する
要件定義は、Web制作の全工程の中で最も手を抜いてはいけないフェーズです。ここで決めた内容が、設計・デザイン・コーディングのすべての判断軸になるため、曖昧なまま進めると後工程での手戻りが連鎖的に発生します。
発注側が決めるべき項目と制作側に委ねる項目の切り分け
要件定義では、発注側が主導して決める項目と、制作会社の専門知識に委ねる項目を明確に区別することが重要です。
発注側が必ず決めておくべき項目は以下の通りです。
- 目的:リード獲得、採用強化、ブランド認知向上など、サイトで達成したいことを一文で定義する
- ターゲット:誰に届けるか。業種・職種・意思決定者の役職など、具体的なペルソナを設定する
- KPI:月間問い合わせ数、資料請求数、直帰率など、成果を数値で測る指標を決める
- コンテンツ量:ページ数、掲載するサービス・実績の件数などのボリューム感
- 予算・スケジュール:公開希望時期と予算の上限。後工程の工数配分に直結する
一方、制作会社に委ねてよい項目は、技術選定(CMSの種類、フレームワークの選択)や、UIパターンの提案、SEO設計の具体的な手法などです。ただし「委ねる=任せきり」ではなく、目的とKPIを共有した上で判断を求めることが前提になります。
よくある曖昧な要件——「いい感じに」「競合と同じくらい」が引き起こす問題
要件定義で最も多いトラブルの原因は、目的と成果指標の定義が曖昧なまま制作が始まることです。
たとえば「競合と同じくらいのサイトにしてほしい」という要件は、制作会社にとって判断基準がまったくない状態です。競合のどの指標を参照するのか、デザインの方向性なのか、機能の充実度なのか、ページ数なのかが特定できません。結果として、デザイン案の差し戻しやページ構成の再設計が発生し、スケジュールと追加費用が膨らみます。
目的と成果指標の定め方として有効なのは、「現状の課題→達成したい状態→測定する数値」の順で整理することです。具体例を挙げると、「現在、Webからの問い合わせがほぼゼロなので、月10件以上の問い合わせを獲得できるサイトにしたい」のように記述します。この一文があるだけで、導線設計やCTAの配置に関する制作側の判断精度が大幅に上がります。
要件定義の不備は、後工程になるほど修正コストが高くなります。設計段階での手戻りはまだ軽微ですが、コーディング完了後にページ構成を変更すると、実装のやり直しが発生します。要件定義に投じる時間は、後工程のリスクを先行して減らすための投資と捉えてください。
フェーズ3:デザイン——ビジュアル制作とブランドの一致確認
設計フェーズで固めたワイヤーフレームをもとに、実際の見た目を作り込む工程がデザインです。ここでは、デザインカンプ(完成イメージのモックアップ)を制作し、発注側との認識を合わせながら修正を重ねていきます。
このフェーズで注意が必要なのは、レビューの判断軸が「個人の好み」になりやすい点です。「なんとなく派手すぎる」「もう少し明るい印象にしたい」といった感覚的なフィードバックは、修正の方向性が定まらず、手戻りを繰り返す原因になります。
デザインレビューで使うべき評価軸——感覚ではなく目的で判断する
デザインのレビューは、以下の評価軸に照らして判断することが重要です。
- サイトの目的との整合性:問い合わせ獲得・採用強化・ブランド認知など、設定した目的に対してデザインが機能しているか
- ターゲットユーザーへの適切さ:想定する読者層にとって読みやすく、信頼感を持てる表現になっているか
- ブランドガイドラインとの一致:コーポレートカラー・フォント・ロゴの扱いが既定のルールに沿っているか
ブランドガイドラインが整備されていない場合は、このフェーズで基準を言語化しておくと、後続の修正判断がスムーズになります。
モバイル・PCのレスポンシブ対応をデザイン段階で確認する理由
デザインカンプはPC版のみで提示されるケースがありますが、モバイル版も同時に確認することを推奨します。BtoBサイトであっても、担当者がスマートフォンで閲覧するケースは増えており、PCとモバイルで情報の見え方が大きく変わる場合があります。
また、デザインとコーディングの乖離——つまり「デザインとしては成立するが、実装が難しい」状態——が起きるのもこのフェーズです。複雑なアニメーションや特殊なレイアウトは、コーダーが実現できない場合があります。デザイン確定前に制作会社のエンジニアが技術的な実装可否を確認するフローを設けることで、後工程での大幅な手直しを防ぐことができます。
フェーズ2:設計——サイト構造とページ設計を固める工程
要件定義で固めた目的・要件をもとに、設計フェーズでは「どのページをどう繋げるか」という構造を具体的な形に落とし込みます。このフェーズで扱う主な成果物は、サイトマップとワイヤーフレームの2つです。
サイトマップで全体構造を可視化する
サイトマップは、サイト全体のページ構成とナビゲーション階層を一覧化した設計図です。情報アーキテクチャ(IA)設計とも呼ばれるこの工程では、以下の3点を中心に整理します。
- ページの洗い出しと階層構造(グローバルナビ・下層ページ・ランディングページの分類)
- 主要なユーザー動線(例:「製品一覧→製品詳細→問い合わせ」の流れ)
- 既存ページの継続・統廃合・新設の判断
発注側がレビューすべき観点は、「訪問者が目的のページに3クリック以内でたどり着けるか」という導線の自然さです。階層が深すぎるとユーザーが離脱しやすくなり、SEO上も不利になる可能性があります。
ワイヤーフレームで発注側が確認すべきポイント
ワイヤーフレームは、各ページのレイアウトと要素配置をグレースケールで示した設計図です。デザインの美しさではなく、「何をどこに置くか」という情報設計の妥当性を確認する段階です。
発注側が特に確認すべきポイントは次の3点です。
- CTA(Call to Action)の配置:問い合わせボタンや資料請求リンクが、ユーザーの意思決定タイミングに合った位置にあるか
- ページ間の導線:関連ページへのリンクが適切に設けられ、回遊を促す設計になっているか
- コンテンツの優先順位:訴求したいメッセージがファーストビューに収まっているか
設計フェーズを省略・簡略化した場合、デザイン工程に入ってから「ページ構成を変えたい」「導線が足りない」といった手戻りが発生しやすくなります。デザイン修正は工数が大きく、スケジュール遅延の主な原因になるため、設計段階での合意形成が工程全体のコストを左右します。
フェーズ4:コーディング・実装——設計・デザインを動くサイトに変換する
コーディング・実装フェーズは、設計書とデザインカンプをもとに、実際に動作するWebサイトとして組み上げる工程です。HTML・CSS・JavaScriptによるフロントエンド実装と、CMSへの組み込みが主な作業範囲になります。
CMSあり・なしで実装工程はどう変わるか
CMSを導入しない静的サイトの場合、HTMLファイルを直接構築して納品する形が基本です。一方、WordPressなどのCMSを採用する場合は、テーマやテンプレートの開発・カスタマイズが加わるため、実装工程はより複雑になります。担当者が自社でコンテンツを更新する運用を想定しているなら、CMS組み込みの工数と管理画面の操作性を、この段階で確認しておくことが重要です。
また、コーディング規約・アクセシビリティ対応・表示速度の最適化は、後工程のSEOや運用コストに直結します。たとえば、画像の最適化やキャッシュ設定を怠ると、Core Web Vitalsのスコアが低下し、検索順位に影響するケースがあります。発注側はこれらの対応方針が仕様書や提案内容に明示されているかを確認することが求められます。
コーディング完了の判断基準——発注側が確認できるチェックポイント
コーディング完了の判断は、制作会社に任せきりになりやすい部分です。発注側が最低限確認すべきポイントを以下に挙げます。
- デザインカンプとの目視一致(PC・スマートフォン・タブレットの各ブレークポイント)
- ページ表示速度の計測結果(Google PageSpeed Insights等で数値を共有してもらう)
- CMS管理画面でのコンテンツ編集・更新が想定通りに動作するか
- アクセシビリティ対応の有無(alt属性・フォームラベル・キーボード操作など)
CLANEのワークスペースでは、コーディング工程から検証作業までを同一環境で管理できるため、確認事項の抜け漏れや工程間のコミュニケーションロスを軽減しやすい構造になっています。
フェーズ3:デザイン——ビジュアル制作とブランドの一致確認
設計フェーズでワイヤーフレームが固まったら、次はビジュアルデザインの制作に入ります。デザインカンプ(モックアップ)と呼ばれる画面の完成イメージを作成し、発注側・制作側の双方で確認・承認を行うのがこの工程の中心です。
デザインフェーズで注意が必要なのは、レビューの質です。「なんとなく好みに合わない」「もう少し明るい雰囲気にしたい」といった感覚的なフィードバックは、修正の方向性が定まりにくく、手戻りの原因になります。
デザインレビューで使うべき評価軸——感覚ではなく目的で判断する
デザインのレビューは、個人の好みではなく、以下の評価軸に照らして行うことが重要です。
- サイトの目的との整合性:問い合わせや資料請求など、設定したコンバージョンに向けてユーザーを誘導できる構成・強調になっているか
- ターゲットユーザーとの適合性:想定する読者層に対して、情報の見せ方やトーンが適切か
- ブランドガイドラインとの一致:既定のロゴカラー・フォント・トーン&マナーから逸脱していないか
ブランドガイドラインが存在しない場合は、このタイミングで「何を守るべきか」を言語化しておくと、以後の修正指示も具体的になります。
モバイル・PCのレスポンシブ対応をデザイン段階で確認する理由
デザインカンプはPC画面のみで作成されるケースが少なくありません。しかし、スマートフォンからのアクセスが主流となった現在、モバイル表示の確認をデザイン段階で行わないと、コーディング後に大きな修正が発生するリスクがあります。
また、デザインとコーディングの乖離——つまり「デザイン上では成立するが、実装が難しい表現」——も起きやすい問題です。アニメーションの複雑さや、フォントの描画環境の違いなどが典型例です。これを防ぐには、デザイナーとエンジニアがデザインレビューの段階から連携し、実装可否を早期に確認する体制が有効です。
納品前の受け入れテストで確認すべきチェックリストはこちらの記事をご参照ください。
あわせて読みたいWeb制作の受け入れテスト(UAT)チェックリスト|納品前に確認すべき項目と進め方フェーズ5:テスト・検証——公開前に潰すべき品質チェックの全体像
コーディング・実装が完了しても、そのまま公開できる状態にあるとは限りません。テスト・検証フェーズは、制作物の品質を多角的に確認し、公開後のトラブルを未然に防ぐための工程です。確認すべき観点は大きく6種類に整理できます。
- 機能テスト:お問い合わせフォームの送信・ボタンのリンク動作・会員ログインなど、各機能が仕様どおりに動作するかを確認します
- ブラウザ・デバイス互換性テスト:利用環境によって表示崩れや動作不良が起きていないかを検証します
- 表示速度計測:Core Web Vitalsなどの指標をもとに、ページの読み込み速度が許容範囲内にあるかを確認します
- SEO技術検証:metaタグ・構造化データ・サイトマップなど、検索エンジンへの最適化が正しく実装されているかを確認します
- セキュリティチェック:SSL証明書の設定・フォームの脆弱性・不要なファイルの公開状態などを確認します
- コンテンツ校正:誤字脱字・リンク切れ・画像の代替テキスト(alt属性)の抜け漏れを確認します
このフェーズで注意が必要なのは、「テストは制作側の仕事」と認識して発注側が関与しないまま進んでしまうケースが少なくない点です。制作会社が実施するテストはあくまで技術的な動作確認が中心であり、コンテンツの内容確認・ブランドとの整合性・実際の業務フローとの一致といった観点は、発注側でなければ判断できません。
ブラウザ・デバイス互換性テストで確認すべき環境の範囲
互換性テストは、主要ブラウザ(Chrome・Safari・Firefox・Edge)と主要デバイス(PC・スマートフォン・タブレット)の組み合わせで実施するのが基本です。ターゲットユーザーの利用環境に合わせて優先度を決め、旧バージョンのブラウザ対応範囲もあらかじめ要件定義段階で合意しておくことが重要です。
SEO技術検証——公開前に確認するmeta・構造化データ・表示速度
SEO観点での技術検証では、各ページのtitleタグ・meta descriptionの設定漏れ、構造化データ(Schema.org)の記述エラー、canonicalタグの設定ミス、サイトマップの送信状態などを確認します。表示速度についてはGoogleのPageSpeed Insightsなどのツールで数値を計測し、改善余地があれば公開前に対処することが理想的です。CLANEはSEO分析機能・自動検証の仕組みを活用し、これらの確認工程を体系的に実施しています。
発注側が最終確認すべき項目としては、フォーム送信後の自動返信メールの文面・リダイレクト設定の意図との一致・コンテンツの最終承認が挙げられます。公開後に発覚した不具合は修正コストが高くなる傾向があるため、このフェーズへの関与は発注側にとっても重要です。
フェーズ4:コーディング・実装——設計・デザインを動くサイトに変換する
コーディング・実装フェーズは、承認済みのデザインデータをHTML/CSS/JavaScriptによって実際に動くWebページへと変換する工程です。発注側が直接手を動かす場面は少ないですが、この工程での判断が後工程のSEO評価や運用コストに直結するため、確認すべき観点を把握しておく必要があります。
CMSあり・なしで実装工程はどう変わるか
CMSを導入しない静的サイトの場合、HTMLファイルを直接編集して公開する構成になります。構造はシンプルですが、テキスト修正や画像差し替えのたびに制作会社への依頼が必要になるケースが多く、運用コストが継続的にかかる点に注意が必要です。
一方、WordPressなどのCMSを組み込む場合は、デザインをCMSのテンプレートとして実装する工程が加わります。コーディング量が増えるため期間はやや長くなりますが、担当者がログインして自社でコンテンツを更新できる体制が整います。運用頻度が高いサイトであれば、初期コストが増えてもCMSを導入するほうが長期的なコストを抑えやすくなります。
また、コーディング段階ではアクセシビリティ対応(文字サイズ・コントラスト比・キーボード操作への配慮)とパフォーマンス最適化(画像の圧縮・不要なスクリプトの削減)が品質基準として組み込まれているかどうかを確認することが重要です。これらは後からの対応が難しく、Googleの評価指標であるCore Web Vitalsにも影響するため、仕様として事前に合意しておくことが望ましいです。
コーディング完了の判断基準——発注側が確認できるチェックポイント
制作会社から「コーディング完了」と報告を受けた際、発注側として確認できるポイントは以下のとおりです。
- デザインカンプとの一致:承認済みのデザインデータと実装結果に乖離がないか、主要ページをブラウザで目視確認する
- マルチデバイス表示:PC・スマートフォン・タブレットそれぞれで表示が崩れていないかを確認する
- ページ表示速度:GoogleのPageSpeed Insightsなどの無料ツールでスコアを確認し、極端に低い場合は改善を求める
- CMS操作性:CMSを導入している場合、自社担当者が実際にログインしてコンテンツ更新を試し、操作上の問題がないかを確かめる
CLANEでは、コーディングから検証までの進捗や指摘事項をワークスペース上で一元管理できる体制を整えており、工程間の情報分断が起きにくい進め方を採用しています。担当者が変わっても履歴が追跡できるため、手戻りの原因となる認識のズレを最小化できます。
フェーズ6:公開・リリース——本番環境への移行と公開直後の確認作業
テストが完了し、制作会社から「公開準備が整いました」と連絡が来た時点で、多くの発注側担当者は「あとは任せればOK」と感じがちです。しかし、Web制作における公開フェーズは、DNS切り替えから公開直後のクロール確認・アクセス解析の動作確認までを含む、複数の作業で構成されています。「公開=完了」ではなく、初動チェックまでが公開フェーズと理解しておくことが重要です。
公開前日・当日・翌日にやること——リリースチェックリストの考え方
公開作業は、前日・当日・翌日の3段階に分けて整理すると漏れが起きにくくなります。主な確認項目は以下のとおりです。
- 前日:本番サーバーへのファイル転送完了、SSL証明書の適用確認、DNS切り替えのタイミング合意
- 当日:DNS切り替え実施、全ページの表示確認、フォーム送信テスト、Googleアナリティクス・サーチコンソールの動作確認
- 翌日:Googleサーチコンソールへのサイトマップ送信、クロール状況の初期確認、流入データの異常有無チェック
発注側が特に把握しておくべきは、サーチコンソールへの登録とサイトマップ送信です。これを怠ると、Googleがサイトを正しく認識するまでに余分な時間がかかる可能性があります。
既存サイトからのリニューアル時に注意すべきSEO引き継ぎ
新規構築と異なり、リニューアル時にはSEO評価の引き継ぎが必要です。旧URLと新URLが異なる場合、301リダイレクトを設定しなければ、これまで蓄積してきた検索順位や被リンクの評価が失われるリスクがあります。
リダイレクト設定は制作会社が担当するケースがほとんどですが、発注側としても「どのURLからどのURLへ転送するか」の対応表を事前に確認・承認しておくことが望ましいです。公開後にリダイレクト漏れが発覚すると、SEO上の影響が出てから気づくという事態になりかねません。
公開フェーズを「作業の終わり」ではなく「運用の始まり」として位置づけることで、公開直後のトラブルや機会損失を防ぐことができます。
フェーズ5:テスト・検証——公開前に潰すべき品質チェックの全体像
テスト・検証フェーズは、制作側だけが担う工程と思われがちです。しかし発注側が関与しないまま進めると、ビジネス要件との齟齬が公開後に発覚するリスクがあります。品質チェックの全体像を把握した上で、発注側として確認すべき項目を押さえておくことが重要です。
Web制作の工程におけるテスト・検証は、大きく6種類に分類できます。
- 機能テスト:フォーム送信・ボタン動作・CMS(コンテンツ管理システム)の操作など、実装した機能が仕様通りに動くかを確認します
- ブラウザ・デバイス互換性テスト:主要ブラウザ・OS・端末での表示崩れや動作不具合を検証します
- 表示速度計測:ページの読み込み速度を測定し、UX(ユーザー体験)とSEOの両面から許容範囲内に収まっているかを確認します
- SEO技術検証:metaタグ・構造化データ・インデックス設定などの技術的SEO要件が正しく実装されているかを確認します
- セキュリティチェック:SSL証明書の設定・不正アクセス対策・フォームへの入力値バリデーションなどを検証します
- コンテンツ校正:誤字脱字・リンク切れ・画像の代替テキスト(altテキスト)の有無を確認します
ブラウザ・デバイス互換性テストで確認すべき環境の範囲
確認対象として最低限押さえておきたい環境は、Chrome・Safari・Edge・Firefoxの主要4ブラウザです。デバイスはWindows・macOS・iOS・Androidの組み合わせが基本となります。自社サイトのアクセスログに主要環境のデータが残っている場合は、それを優先的にテスト対象に含めると効率的です。
発注側が確認すべき点は、実際の業務環境での動作です。社内で使用するブラウザや端末が特定されている場合は、制作会社にその環境を事前に伝えておく必要があります。
SEO技術検証——公開前に確認するmeta・構造化データ・表示速度
SEO技術検証では、以下の項目を公開前に必ず確認します。
- ページごとにtitleタグ・meta descriptionが設定されているか
- 構造化データ(Schema.org)が正しくマークアップされているか
- canonicalタグによる重複ページの制御が適切か
- Google Search Consoleへのサイトマップ送信が完了しているか
- Core Web Vitals(Googleが定める表示速度・操作性の指標)が基準値を満たしているか
CLANEでは、これらのSEO技術要件をツール上で自動検証・分析できる仕組みを持っており、属人的なチェック漏れを減らす運用が可能です。発注側としても、制作会社がどのようなSEO検証プロセスを持っているかを事前に確認しておくと、公開後のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
手戻りが起きやすい工程間の接続点——フロー全体で見るリスクポイント
Web制作の進め方を失敗させる原因は、各フェーズ内の作業品質よりも、フェーズとフェーズの「つなぎ目」にあるケースが少なくありません。工程単体が丁寧に進んでいても、引き継ぎの段階で情報が欠落したり、認識がずれたりすることで、後工程に大きな手戻りが発生します。
工程間の引き継ぎ失敗が予算超過と納期遅延を招くメカニズム
手戻りが起きやすい接続点は、主に以下の3箇所です。
- 要件定義→設計:要件定義で「ざっくり合意」したまま設計に進むと、ページ数や機能スコープの解釈がずれます。「問い合わせフォームに入力補助を付ける」という要件が、発注側は自動入力補完を想定し、制作側は単純なバリデーションで実装するといったズレが典型例です。設計完了後に発覚すると、構造の見直しから発生します。
- デザイン→コーディング:デザインカンプ(完成見本)が静止画として承認されても、インタラクション(ホバー時の挙動・スクロール演出など)が言語化されていないと、コーダーが独自解釈で実装します。後からデザイナーが確認して差し戻すパターンは、Web制作の手戻りとして最も頻度が高い事例の一つです。
- テスト→公開:テスト環境では問題がなくても、本番環境への移行時にサーバー設定やSSL証明書の適用漏れが起き、公開直後に不具合が発生するケースがあります。チェックリストを環境ごとに分けていない場合に起きやすい失敗です。
発注側がリスクを下げるために持つべき関与タイミング
接続点のリスクを減らすために、発注側が確認に入るべきタイミングは以下の通りです。
- 要件定義の完了時:議事録や要件定義書を必ず文書で受け取り、認識に齟齬がないか確認します。口頭合意のみで次フェーズに進まないことが重要です。
- デザイン承認前:静止画だけでなく、動きや遷移の意図をデザイナーから説明してもらい、コーディング仕様書への反映を確認します。
- 公開切り替え前:本番環境でのチェックリストを制作会社から事前に提示してもらい、テスト環境との差分確認が行われているかを確認します。
発注側が「工程内の作業」ではなく「工程間の引き継ぎ」に目を向けることが、Web制作フロー全体の品質を安定させる上で効果的です。
フェーズ6:公開・リリース——本番環境への移行と公開直後の確認作業
公開作業は「サイトを世に出す瞬間」ですが、リリース当日だけで完結するわけではありません。DNS切り替えからクロール確認・アクセス解析の動作検証まで、一連の作業をセットで捉えることが重要です。
公開前日・当日・翌日にやること——リリースチェックリストの考え方
公開作業は、前日・当日・翌日の3段階に分けて整理すると抜け漏れを防ぎやすくなります。
- 前日:本番サーバーへの最終データ転送、SSL証明書の有効確認、リダイレクト設定の動作テスト
- 当日:DNS切り替え、Googleサーチコンソールへのプロパティ登録、XMLサイトマップの送信、noindexタグの解除確認
- 翌日:Googleサーチコンソールのクロールエラー確認、GA4などアクセス解析ツールのデータ取得確認、主要ページの表示速度チェック
特にnoindexの解除忘れは、検索エンジンにサイト全体が認識されない原因になるため、公開当日の最重要確認項目のひとつです。
既存サイトからのリニューアル時に注意すべきSEO引き継ぎ
リニューアルでURLが変わる場合、旧URLから新URLへの301リダイレクト設定を漏れなく行わないと、それまで積み上げた検索評価を失うリスクがあります。ページ単位でのリダイレクトマップを事前に制作会社と確認しておくことが必要です。また、Googleサーチコンソール上で旧サイトのプロパティと新サイトのプロパティを両方管理し、インデックス状況の変化を比較できる状態にしておくと、公開後の初動対応がスムーズになります。
「公開=完了」ではなく、公開後1週間程度の初動確認までが公開フェーズの範囲と認識しておくと、問題の早期発見につながります。
Web制作フローをツールで一本化する——工程分断を減らす考え方
ツール間の行き来が生む見えないコストとリスク
Web制作の現場では、コードエディタ・FTPクライアント・SEO分析ツール・動作検証ツール・WordPress管理画面など、複数のツールを工程ごとに使い分けるケースが少なくありません。それぞれのツールは単体として優れていても、ツール間の受け渡しは手作業に依存しがちです。
この構造が生む問題は主に2つあります。ひとつは情報の分断です。どのツールで何を確認したか、どの段階でどのデータが変わったかが一元管理されないため、担当者間での認識齟齬や確認漏れが起きやすくなります。もうひとつは工程間の接続コストです。ツールを切り替えるたびに作業の文脈が途切れ、再確認や再入力が発生します。これは目に見えにくいコストですが、プロジェクト全体での積み上がりは無視できません。
一気通貫のワークスペースが制作フローに与える影響
CLANEが提供するWeb制作ワークスペースは、こうした工程分断の課題に対して「ツールを統合する」アプローチをとっています。コードの編集からサーバーへの反映、SEOの確認、WordPress上のコンテンツ管理までを単一の環境上で完結させることで、ツール間の手作業による受け渡しを減らす設計になっています。
発注側にとって重要なのは、このアプローチが単なる操作効率の話にとどまらない点です。工程間の情報が一カ所に集約されることで、進捗や品質の状態が把握しやすくなり、制作会社とのコミュニケーションの精度も上がりやすくなります。制作フローの見通しをよくしたい場合、ツール構成の整合性も確認しておく視点のひとつになります。
手戻りが起きやすい工程間の接続点——フロー全体で見るリスクポイント
Web制作の進め方を工程ごとに理解するだけでは、プロジェクト管理として不十分です。実際の予算超過や納期遅延の多くは、各フェーズの内部ではなく、フェーズとフェーズの「つなぎ目」で発生しています。
工程間の引き継ぎ失敗が予算超過と納期遅延を招くメカニズム
代表的な接続リスクは、以下の3つの場面に集中しています。
- 要件定義→設計のズレ:要件定義で「問い合わせ数の増加」を目的として定義したにもかかわらず、設計フェーズでその目的がページ構成に反映されていないケースです。担当者が変わる・口頭での引き継ぎに留まるといった状況で起きやすく、後工程のデザイン修正にまで波及します。
- デザイン→コーディングの乖離:デザインカンプ上で表現された動きやフォントが、実装段階で再現できないと判明するケースです。デザイナーと実装担当者が別チームの場合、このズレが修正コストとして顕在化します。
- テスト→公開のチェック漏れ:テスト環境で確認済みでも、本番環境への移行時にリダイレクト設定やフォームの送信先が未設定のまま公開されるケースは少なくありません。
発注側がリスクを下げるために持つべき関与タイミング
これらの手戻りを防ぐうえで有効なのは、発注側が工程の「終わり」ではなく「始まり」に関与することです。具体的には、設計開始前に要件定義の内容を制作会社と読み合わせる機会を設けること、デザイン完了前にコーディング担当者が参加するレビューを挟むこと、公開前日には移行チェックリストを発注側・制作側双方で確認することが有効です。
工程間の引き継ぎを「制作会社に任せる」姿勢のままでいると、問題が表面化するのが常に後工程になります。発注側が節目ごとに確認の場を持つことが、Web制作フロー全体の品質を安定させる前提条件になります。
まとめ——Web制作フローを理解することがプロジェクト成功の前提条件
Web制作の流れは、要件定義・設計・デザイン・コーディング・テスト・公開という6つのフェーズで構成されています。各フェーズには固有の意思決定ポイントがあり、前工程の判断が後工程の品質とコストに直結する構造になっています。
フロー全体を把握していない状態で発注すると、仕様変更による手戻りや、工程間の認識齟齬が積み重なり、スケジュール超過・追加費用の発生につながるケースが少なくありません。逆に言えば、発注者側が全体像を理解した上でプロジェクトに関与できれば、制作会社との合意形成が早まり、品質・コスト・納期の管理精度が大きく上がります。
プロジェクトを前に進めるために、まず取り組むべき作業は次の3点です。
- 要件の整理:サイトの目的・ターゲット・必要な機能・予算・スケジュールを社内で合意しておく
- 制作会社の選定:得意領域・実績・進行スタイルを確認し、自社の規模や目的に合ったパートナーを選ぶ
- ツール・管理体制の選定:タスク管理・ドキュメント共有・フィードバックの仕組みを事前に整え、工程分断を防ぐ
Web制作の手順を理解することは、制作会社に任せきりにしないための前提条件です。発注者として適切に関与できる体制を整えることが、プロジェクト成功への確実な一歩になります。
Web制作フローをツールで一本化する——工程分断を減らす考え方
ツール間の行き来が生む見えないコストとリスク
Web制作の現場では、コードエディタ・FTPソフト・SEO分析ツール・表示確認ツール・WordPress管理画面など、工程ごとに異なるツールを使い分けるのが一般的です。それぞれの工具は高機能であっても、ツール間での情報の受け渡しは手作業になりやすく、確認漏れやバージョン不一致が起きやすい構造になっています。
たとえば、SEO分析ツールで確認した改善点をコードに反映し、FTPでアップロードし、別の検証ツールで再確認するという一連の流れを手作業でつなぐ場合、ステップが多いほど「どの作業が完了しているか」が見えにくくなります。この「見えないコスト」は、工数の肥大化や担当者間の認識齟齬という形で後になって表面化することが少なくありません。
一気通貫のワークスペースが制作フローに与える影響
こうした課題に対するひとつのアプローチが、制作工程を単一のワークスペース上に集約するという考え方です。CLANEのWeb制作ワークスペースは、コーディング・SEO設定・自動検証・公開管理といった複数の工程を、ツールを切り替えることなく一つの環境で進められる設計になっています。
ツールを横断しないことで、「どこで何が完了しているか」の把握が容易になります。また、工程間の手作業の受け渡しが減ることで、確認漏れのリスクも構造的に小さくなります。Web制作の効率化を検討する際には、個別のツールの性能だけでなく、「フロー全体としてどこに断絶があるか」を起点に、ツールの選択や環境整備を考えると、改善の効果が得られやすくなります。
まとめ——Web制作フローを理解することがプロジェクト成功の前提条件
Web制作の流れは、大きく6つのフェーズで構成されます。要件定義・設計・デザイン・コーディング・テスト・公開という手順を順に踏むことが、品質とスケジュールを守るための基本です。
各フェーズのポイントを改めて整理すると、以下のとおりです。
- 要件定義:目的・ターゲット・必要機能を言語化し、全工程の判断基準を確定させる
- 設計:サイト構造とページ設計を固め、デザイン・実装への指示書を作成する
- デザイン:ブランドとの一致を確認しながら、承認プロセスを明確に進める
- コーディング・実装:設計・デザインの意図を忠実に動くサイトへ変換する
- テスト・検証:公開前に動作・表示・セキュリティの問題を体系的に潰す
- 公開・リリース:本番環境への移行後、アクセス解析や表示確認を速やかに行う
これらのフェーズは独立して機能するわけではなく、前工程の精度が次工程の品質に直結します。特に要件定義や設計の段階で曖昧さを残すと、デザインやコーディングの工程で手戻りが発生し、コスト増加やスケジュール遅延につながるケースが少なくありません。
Web制作フローの全体像を把握した上で発注・関与することが、コスト・品質・スケジュールを管理するための前提条件です。次のステップとして、まず自社の要件を整理し、それを適切に実現できる制作会社やツールの選定に進むことが、プロジェクトを円滑に動かす実践的な順序です。
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